ツウに刺さるBEERな小話!ビアマップスセミナー第3弾:「酵母」編
2025年1月24日
まいどどうも!前回の「麦芽」編から約1年ぶりの企画投稿【BEERな小話!ビアマップスセミナー第3弾】です。

過去2回はホップと麦芽を簡単に掘り下げてきましたが、今回は「酵母」についてのお話です。お時間があるときにぜひご一読ください!
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さて、そもそも酵母とは何なのでしょうか?
英語ではイースト"yeast"と呼ばれ、漢字では発酵の母と書く単細胞生物です。我々人間は約60兆個の細胞が集まって一人の人間になっていますが、酵母は細胞一つで一つの酵母となっています。

一つの酵母のサイズは種類にもよるのですがおよそ5μm。これは0.005mmです。
サッポロビールより引用

また、酵母は基本的に細胞分裂により増殖します。上記画像がまさしくその瞬間で、右上の今にも取れそうな球体が酵母の子どもです。

そんな酵母ですが、身近な酒類やパンなどに一番使われているのは"Saccharomyces cerevisiae(サッカロマイセスセレビシエ)"という種。パン造りではパンを膨らますため、お酒では糖分からアルコールを作り出すために幅広く使用されている生物です。

ビール業界ではブルワー(醸造家)は酵母の餌(糖分)を作っているだけで、実際にビールを作っているのは酵母!なんて言ったりも良くします。それぐらい酵母なしではお酒造りが成り立たない重要な生物なんです。

さて、そんなイーストはどういう形態で使われているのでしょうか。最も一般的なものはドライイーストと言って酵母を乾燥させたものです。乾燥状態では休眠中で活動しませんが、水分を足すと元気を取り戻して発酵してくれます。
※ドライイースト以外にも乾燥させていない液体酵母がありますが、今回は割愛します!  
これはビール業界で幅広く使われている一番普通(?)なエール酵母のドライイーストです。
US-05というのは商品名。パン造りで使われるドライイーストは1パック数gが一般的ですが、ビール醸造用のドライイーストはなんと500g!メーカー推奨はリッターあたりドライイーストを0.05-0.08gつかうので、この1パックで約600から1000Lのビールを造ることができます。
そして、実は同じサッカロマイセスセレビシエでも様々な特徴をもったものがいます。同じ人間という生物でも色々な人がいるといったらわかりやすいでしょうか...先ほどのUS-05は最近でいうとクリーンな濁っていないIPAを造るのに使用されたりします。その一方、このFERMOALE New-Eという商品は濁りが特徴のヘイジーIPAによく使われる酵母です。

どちらも同じサッカロマイセス属のセレビシエという種の酵母ですが、発酵の挙動や出てくる香りがかなり異なります。実はブルワーは造るビールのスタイルに合わせて酵母の種類も選んでいるんです!

さらにさらに...!ビールではセレビシエではない酵母もよく使われています。先ほど「エール酵母」という言葉が出てきましたが、次に紹介するのは「ラガー酵母」。こちらはセレビシエとおなじサッカロマイセス属ですが、パストリアヌスという種の酵母です。"Saccharomyces pastorianus"と書きます。

こちらの酵母はいわゆるスーパードライや一番搾りなど、ラガーやピルスナーと呼ばれているようなビールによく使われている種の酵母です。そして、こちらも先ほどのエール酵母と同じで色々な特徴を持ったラガー酵母がおり、大手ビール会社は自社製品の味を守るために大切に守り継がれています。

さらにさらにさらに...!最近では科学技術も進歩し、サッカロマイセス属以外の酵母もよく使われています。クラフトビールやベルギービールをよく飲んでいる人は聞いたことがあるかもしれませんが、サッカロマイセス属以外で一番有名なのはブレタノマイセス属(Brettanomyces)の酵母。この酵母は一般的なビールやワインでは汚染とみなされてしまうような酵母です。ただ、ベルギービールのランビックのような特徴的な味わいをもつビールのキーとなる酵母でもあります。

ブレタノマイセスの香りとしてよく表現されるのは馬や獣臭。これだけ聞くと全く美味しくなさそうですよね(笑)でもこれがとっても複雑で味わい深いんです。試してみたい方はぜひ「ランビック」で検索してみてください。
もう一つ紹介するのはPHILLY SOURという商品名のこの酵母。こちらはまた違う属のラカンセア属(Lachancea)。

この製品の特長はアルコールと共に乳酸もたくさん生成すること。乳酸はヨーグルトの酸っぱさのもとにもなっている成分で、この酵母を使うとサワーエールと言われるような酸っぱいビールが出来上がるんです!

ここでは紹介しきれない酵母もまだまだたくさんあるのですが!?長くなってきたのでこのあたりで終わりにしたいと思います。気になったことや聞きたいこと、質問があればXやメールなどにお気軽にメッセージください!

最後はブルワーが醸造所で好きな光景、第5位!(中の人調べw)の発酵中に酵母が出す炭酸ガスがタンクの外に出てくる様子で締めくくりたいと思います。
ボーっと見れちゃうんです、これ。
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では、またお会いしましょう!次回のセミナーもお楽しみに~
Good day everyone, 乾杯!!  

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